*この記事は2025年度までの情報に基づいています。機械系の問題傾向は2019年以降大きく変わっているため時間がない方は2019年以降を中心に勉強を進めると良いでしょう。
数学A
東北大学工学研究科機械系の入試問題では数学Aでは主に微積分、線形代数、ベクトル解析の出題があります。微積分については広い範囲から出題されますが、近年の傾向としてはロピタルの定理を使った極限を求める問題、円柱座標系を用いた多重積分の問題が多く出題されています。次に、線形代数についてですが、こちらも基本的に、固有値、固有ベクトルを求める問題が基本的に出題され、そこから対角化をさせ、行列の累乗の計算をさせる問題が多く出題される一方で、ケリーハミルトンの定理やフロベニウスの定理を用いた行列演算をさせる問題も出題されやすい傾向にあります。最後にベクトル解析についてですが、ベクトル解析で重要となってくるのがガウスの発散定理とストークスの定理です。この2つの定理はそれぞれ体積分と面積分、面積分と線積分の関係を表す式でよく出題されます。ベクトル解析の攻略の鍵としては、2つの定理を使った方が速いのかまた、2つの定理を使える条件なのかを見極めることです。ベクトル解析はほかの2つの分野より比較的計算が簡単なことが多いので、よく勉強しておくとほかの2つに時間を使うことができ合格に近づきます。
数学B
次に数学Bの問題について解説していきます。数学Bの出題範囲としては常微分方程式、偏微分方程式、フーリエ解析、ラプラス変換の4つでこの中から3題が出題されます。近年の傾向としては、常微分方程式、ラプラス変換から1題ずつとフーリエ解析、偏微分方程式から1題が出題されています。まず、常微分方程式についてですが、人の手で解ける問題が限られていることからあまり難しい問題は出題されない傾向にありますが、抑えておきたい形式としては、同次形、ベルヌーイの微分方程式、オイラーの微分方程式、二階の非同次微分方程式があります。この5つは毎年のように出題されるため、他の受験者と差を付けられないためにも最低限勉強しておきましょう。次に偏微分方程式についてです。偏微分方程式の解き方については基本的にはどの問題でも同じであるので、過去問演習でやり方を覚えてしまうと良いでしょう。一方で、毎回最後の問題については難問も多く、その多くはフーリエ級数展開との絡みを問う問題となっています。そのような問題では計算量が多いことも多いので、過去問を用いて練習しておくとよいでしょう。偏微分方程式は近年あまり出題されていないため、練習として2018年以前の問題を使うとよい練習になります。続いてフーリエ解析について解説していきます。フーリエ解析では、主に2パターンの問題が出されており、1つが関数をフーリエ級数展開し、そのフーリエ級数からある等式を証明させるタイプです。このタイプの問題で重要となってくるのが、関数が偶関数か奇関数かを判断することです。偶関数か奇関数と判断できれば計算が半分になり、素早く解き終わることができます。2つ目の問題形式としてフーリエ変換についての問題です。このタイプの出題では、(1)でとある等式を証明させ、(2)以降にその等式を使わせる問題を出題されるケースが多くなっています。このような問題においてとても大切なのが、(1)を解くことができなくてもそれ以降の問題を解くことができるということです。東北大学では高得点の勝負になることが多いため、少しでも点数を稼ぐために諦めない心を持って問題に取り組んでいく必要があります。また(1)の問題の傾向についてですが、主に2つのことを意識すると問題が解きやすくなります。1つ目がたたみ込みの存在です。たたみ込みの形が出てくる場合多くは積分の順番を逆転させることで証明ができます。2つめのパターンが微分または積分の形が入っているタイプです。このタイプの問題では、微分の場合、微分を積分の中に入れてあげることで糸口が見えるパターンが多いです。積分の場合は、たたみ込みの場合と同様に積分の順番を入れ替えることで解決されるパターンが多くなります。最後にラプラス変換についてです。ラプラス変換は制御工学や常微分方程式などにもつながる重要な分野であるため、その理解は数学だけでなく院試全体の理解につながります。ラプラス変換についても考えることはフーリエ変換と概ね同じですが、ラプラス変換では、よく出てくる関数についてのラプラス変換を覚えておくことで問題が素早く解けることが多いので覚えておくことをおすすめします!具体的には、三角関数、微分形、積分形、たたみ込みについてです。特にたたみ込みを使うと誘導を使うことなくすべての問題を解くことができることもあるので、覚えておいた方がいいでしょう。また、たたみ込み積分のラプラス変換の公式を証明させる問題も頻出のため導出できるようにしておくことをおすすめします。
最後に
今回は東北大学工学研究科機械系の大学院試数学の傾向について説明してきました。数学は60分で勝負が決まるシビアな争いになるため、基本公式は覚えておくことで時間を有効に使うことができるでしょう。また、解ける問題が後の方に残っていることも多いので、わからない問題があったら先に解ける問題から先に解いていくことで点数を最大化できると思います。このブログが皆さんの役に立つとうれしいです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。次のブログでは専門科目について解説していこうと思います。
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